ことわざの「芍薬・牡丹・百合」はどんな花?美しさを表現する花達

「立てば芍薬座れば牡丹歩く姿は百合の花」という有名なことわざ。一度は聞いたことがあるのではないでしょうか?

美しい女性を表現するときに使う言葉ですが、ことわざの意味やなぜ「芍薬、牡丹、百合」の3種類の花なのかなど、意外とわからないことが多いことわざです。

本記事ではことわざの意味や由来、芍薬・牡丹・百合の花について詳しく解説していきます。

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ことわざの意味とその由来

「立てば芍薬座れば牡丹、歩く姿は百合の花」は、女性の美しさを表すときに使うことわざです。女性の美しい所作や容姿を、花の美しさにたとえて表現しています。

■花で表現する女性の美しさ
【芍薬】女性の美しい立ち振る舞い
【牡丹】女性が優雅に座っている姿
【百合】女性が軽やかに歩く姿
上記のように所作を3つの花で表現しています。3つの花の表現からわかるように、見た目の美しさだけでなく内面の美しさが備わっている人にこそ当てはまることわざです。

ことわざの由来

ことわざの由来は諸説あります。ひとつずつ解説していきます。

由来①芍薬、牡丹、百合の見た目

美しさを表現する「芍薬、牡丹、百合」の花ですが、それぞれの美しい花姿からことわざができたとされています。

写真特徴花が表現するもの
芍薬シャクヤク細くすらっと伸びた茎の先に美しい花を咲かせる。立ち振る舞い
牡丹ボタン芍薬と同じボタン科の花。枝分かれした横向きの枝に花をつける。座っている姿
百合ユリしなやかに伸びた茎の先に、うつむき気味で花を咲かせる。風をうけると優雅に揺れ動く。軽やかに歩く姿

花の特徴から、「女性の美しい立ち振る舞い(芍薬)、優雅に座っている姿(牡丹)、軽やかに歩く姿(百合)」を表現してことわざが生まれたそうです。

ベイビー
ベイビー
3つの花の開花時期は、牡丹(45月)芍薬(56月)百合(5〜8月)と一連の流れと一致しています。

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由来②芍薬、牡丹、百合の鑑賞の仕方

芍薬は細くすっと伸びた茎の先端に花を咲かせ、牡丹は横向きに枝分かれした先に花を咲かせます。また、百合は風で揺れる様子が美しいとされています。

それぞれの花の特徴から、芍薬は立って見る、牡丹は座って見る、百合は歩きながら見るのが一番美しいという説があり、このことにちなんでことわざができたそうです。

伸びた茎の先に咲く芍薬の画像

伸びた茎の先に咲く芍薬

横向きに枝分かれして咲く牡丹の画像

横向きに枝分かれして咲く牡丹

風に揺れる百合の動画はこちら↓

ゆりの花 2014  Lilies2014

動画出典:madobenomidori ゆりの花2014Lilies2014

由来③生薬の使い方

見た目が美しい芍薬、牡丹、百合の花ですが、元々は生薬としても利用されていました。この3つの花の生薬としての使い方からことわざが出来たという説もあります。

「立てば芍薬」の「立てば」は気が立っている女性を指し、芍薬の根には痛みや筋肉のこわばりを取る効果があります。

「座れば牡丹」の「座れば」は座ってばかりの女性を指し、その原因に「お血(腹部に血が滞った状態。漢方で症状を表現する際使われる言葉)」があるとされています。こちらは牡丹皮によって改善されます。

「歩く姿は百合の花」は力なく歩いている女性を指し、心身症が原因と考えられ、その場合には百合の球根を用いました。

3つの花の生薬の役割から、健康で美しい女性を表現して出来たことわざという説があります。

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芍薬・牡丹・百合の基本情報まとめ

ことわざに使われている芍薬(シャクヤク)、牡丹(ボタン)、百合(ユリ)の基本情報をまとめました。

芍薬(シャクヤク)

芍薬(シャクヤク)の画像

学名Paeonia lactiflora
英名・chinese peony
・common garden peony
ボタン科
ボタン属
開花時期5月〜6月
季語初夏の季語
誕生花5月2日

芍薬はボタン科ボタン属の多年草で、一重咲き、八重咲きなどさまざまなタイプがあります。中国やモンゴルが原産で、日本には中国から渡来しました。

19世紀のフランスで品種改良が盛んにおこなわれ、千重咲きなど大輪の品種が生まれています。

芍薬の名前は「綽約(姿がしなやかでやさしいさま)」が由来とされています。学名の「Paeonia」は、ギリシア神話に登場する神の傷を治した医の神「Paeon」が語源です。

エルマ
エルマ
豪華な花姿の芍薬は切り花の人気も高く、洋シャクヤクに多いバラ咲きは一段と華やかなので、ブーケや花束におすすめです。
芍薬の花言葉はこちら↓
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牡丹(ボタン)

牡丹(ボタン)の画像

学名Paeonia suffruticosa
英名・Tree peony
・Peony
ボタン科
ボタン属
開花時期4月〜5月
季語初夏の季語
誕生花5月17日

牡丹はボタン科ボタン属の落葉小低木です。原産は中国で、かつては薬用として使われていましたが、盛唐期以降「花の王」とよばれ愛好されるようになりました。

牡丹は「花王」、芍薬は花の宰相「花相」とよばれています。 「王者の風格」といわれる牡丹ですが、西洋では「恥じらい」や「思いやり」を表現しています。

牡丹の花言葉はこちら↓

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百合(ユリ)

百合(ユリ)の画像

学名Lilium
英名Lily
ユリ科
ユリ属
開花時期5月〜8月
※種類によって開花時期が異なります
季語仲夏の季語
誕生花12月21日 (カサブランカ)
※種類によって異なります

百合はユリ目ユリ科のうち、ユリ属の多年草の総称です北半球のアジアを中心に広く分布しています。華麗に咲き香りもよく、切り花でも人気の高い花です。

むかし、風に揺れる様子から「揺すり」といわれ、それが変化し百合といわれるようになりました。

百合の原種は世界で約100種あり、そのうちの15種は日本の自生種です。日本には美しい野生の百合が多く、むかしから人々に愛されてきました。

江戸時代の末期になると、日本の百合がヨーロッパに渡り「日本の百合は際立って美しい」と人気が高まりました。その後、百合の貿易が盛んにおこなわれ、一時期では世界の百合の90%を日本の百合が占めたそうです。「百合で軍艦をつくった」といわれるほど、日本の経済力、国力に影響を及ぼしました。

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まとめ

美しい女性を表現する芍薬、牡丹、百合の花は、そのことわざにふさわしい花姿で古くから人々に愛されてきました。

ことわざは「立てば芍薬座れば牡丹」など省略して使われることもあります。日本人ならではの繊細で豊かな表現方法を使ったことわざを是非使ってみてはいかがでしょうか?

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